Doctor Mからのメッセージ #18 (2002.10)
五十肩や腰痛・坐骨神経痛にはブロック注射が良いことが多い
◎ 先ず、私の既往歴から。大学5年生の時にギックリ腰を起こしました。3日程寝ていたが治らないので、大学の整形外科を受診しました。外来の椅子に長時間待たされた時に、変な姿勢で寝入ったのが良かったらしく、診察室に入ると「アレーッ、痛くない」ということで恥をかいて終いでした。しかし、以後しばしば軽いですが坐骨神経痛になっています。今では筋力不足と姿勢不良のための筋肉障害かなと思います。
15年程前、肺外科医で活動していた時に左の肩から上腕にかけて強い痛みが続き、左指の知覚も麻痺しました。手術中にピンセットを落とすようになり、「これは、えらいことになった」ということで、頸肩のレントゲン・頭のCT・頸のMRIなどの脳神経外科と整形外科の画像診断を受けました。頚椎に若干の変形があるのにはがっかりしましたが、結局は大きい異常がなく、そもそも仕事が忙しいので治療もなしで、それっきりです。運良く数ヶ月くらいで治りました。これも、数年に1回は再発しており、時には酷くて数日は安眠出来ないこともありました。寝転がって本を読んだりした後や、朝の起床時などに再発していることがあります。今では肩腕症候群と思います。
◎ 五十肩(50歳でなくても)は肩関節周囲炎と大体は同義であり、痛くて肩を挙げられない状態を言います。多くは、肩や頚、特に肩の筋肉の疲労性炎症とそれが神経を刺激することの症状であるようです。レントゲンで一寸頚の骨に変形などがあれば、「これが原因かも」と安直に判断することには最近では整形外科医からも疑問と反省が語られています。実際はレントゲンには写らない筋肉の炎症や循環障害などの骨以外の問題が多いようです。とにかく、色々な原因があろうとも何らかの契機で肩が痛くなって動かせなくなると、それ以後は動かないことが原因で筋肉の拘縮や癒着で関節が錆び付いてしまったごとく悪循環になってします。有効な治療は、一旦は無理矢理にでも動かして(非常に優しく繰り返し動かす必要があります)、錆び付いた動きを解除することですが、痛くて出来ない。そこで、ツボに簡単な麻酔薬による神経ブロックをすると、一時的に痛くなく動かせる範囲が確保できるのです。しばしば抗炎症剤を加えます。そのツボの多くは、上腕二頭筋の長短頭付着部と肩甲上神経の走行部です。深刻な原因のない五十肩の多くはこの治療を1〜2回すると治って来られなくなります。牽引療法やマイクロ波などの理学療法の効果は個人差があり不確実です。鎮痛剤の使用は意味があるように思います。以上は当院で積極的に行っていることです。簡単に治らないとか、症状がどうも変だという場合には、腱板損傷などの関節内の変化かも知れないので整形外科の専門家に紹介したり受診するよう勧めています。
◎ ギックリ腰(体変後の急性腰痛症のことの総称)で腰筋に明らかな圧痛点がある場合で、早く治したい場合は局所に消炎鎮痛の注射をするのが良いと思われます。圧痛がはっきりしない場合は深部の筋肉の傷みか神経の痛みかであり、腰に単純な局所注射をしても効果は怪しいと思われます。また強い坐骨神経痛の取り敢えずの痛み対策は坐骨神経のツボに麻酔薬のブロック注射をするのも私は積極的に勧めて実施しています。いずれにしましても、大概は放っておいても数週間から数ヶ月くらいで症状が良くなることが多いので、それで良い方はゆっくりの覚悟で良いでしょう。勿論、適宜の鎮痛剤の使用は意味があると思います。適切な条件での脊椎牽引という施療は健康な人にでも時々するのは良いことであるように私は個人的には思っています。牽引もマイクロ波も気持ちが良いである限りは良いのだと思いますが、しかし早く治癒につながるという客観的な証拠は余りないようです。